I stitch my skin to the ground
このビデオゲームプロジェクトは、2つのゲーム作品「Replay over and over」(2023) と「Ambiguous Lucy」(2021) で構成される。
「Replay over and over」
ゲームのプレイヤーは、性暴力によって自身の身体を「モノ」にさせられた過去をもつ主人公の物語を追体験する。主人公は何者かに襲われると、プレイヤーは操作不能となり、キャラクターは動けなくなる。プレイヤーの意図(コントローラー操作)とキャラクターの行動の乖離は、性暴力の実際の体験へと転化する。この生理的反応は「強直性不動反応」あるいは「フリーズ」と呼ばれる。プレイヤーは、性暴力の被害者と同様に自らの意思で動けず、叫び声を上げられないという理不尽な状況に強制的に追い込まれる。最終的に、主人公は皮膚を剥がし脱ぎ捨てることで、新しい身体を獲得しようとする。
「Ambiguous Lucy」
人間と動物と植物と機械が互いに溶け合い、それぞれを補うように結合する世界に訪れたルーシーは、性差や人種などのカテゴリーに分類されない肉の塊になることを選択した。この「肉の塊」は、「男」や「女」に分類されないノンバイナリーな身体を表象している。物語の最後に、プレイヤーは植物、石、機械の3つの選択肢の中から溶け合い結合するための相手を選ぶ。これは、すべての性別の人に恋愛感情や性的欲求を抱くセクシュアリティを暗示している。
※ルーシー:アウストラロピテクスの最初期と推定される318万年前の女性の化石人骨につけられた名前。
Clean Up My Pixels
AI画像解析技術を使用して生成されたディープフェイクポルノや、小型デジタルカメラを使用した盗撮、リベンジポルノなどのデジタル性被害を経験した主人公の体験や視点を描く映像作品。3DCGアニメーションと、公共空間で撮影されたパフォーマンス映像で構成されている。駅や路上で即興的に行った掃除のパフォーマンスは、インターネットやSNSに上げられ拡散された情報としての記録と、身体や公共空間に貼り付いた記憶を「Clean Up(クリーンアップ)」したいという願望が反映されている。
Pixel Animation
《Pixel Animation》は、横128 × 縦64 ピクセルの小型モニターを使用し、波や滝、引き潮など水のアニメーションをループ再生させている。マイコンボードArduinoに、1フレームごとに各ピクセルを点灯させるスクリプトを書き込み、表示させている。
およそ1970 年〜 1990 年までアーケードゲームや家庭用ゲーム機は、メモリやCPU の制約により限られた解像度でグラフィックを表現しなければならなかった。当時誕生した「ピクセルアート」は、視認性の良さや美しさ、データの軽量化を両立させた作品だった。
近年は、3DCGを用いたゲームを制作している。プレイヤーが複数の選択肢から自らの進む道を選び取れる世界を構築するためのメディウムとして、ゲームを位置づけている。その選択の可能性を広げることで、ジェンダー、人種、階級など、あらゆるカテゴライズからの脱却を目指し、ポジティブな並行世界の創造を探求している。身体を拡張し、人間や人間以外の存在と融合させることで、既存の価値観から離れ、肉体の限界を超えて、自ら選び取ることのできる身体のあり方を考察している。
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。愛知県立芸術大学美術学部メディア映像専攻講師
- 2026
- TOKASレジデンス成果発表展(2026年6月 – 2026年9月)
- 2025
- TOKAS二都市間交流事業プログラム(派遣)(2025年9月 – 2025年11月)
- 2024
- 「Engawa films」上映(リスボン、ポルトガル、Centro de Arte Moderna (CAM))
- 2024
- 「16th World Film Festival of Bangkok」上映(バンコク、タイ)
- 2024
- 「やまなしメディア芸術アワード 2023-24 入選作品展」グループ展(山梨)
- 2023
- 「Digital Art Festival Taipei 2023」グループ展(台北、台湾)
- 2023
- 「TOKAS-Emerging 2023」個展(トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京)
- 2022
- 「昌原国際彫刻ビエンナーレ 2022」(昌原、韓国)
- 2021
- 「Open Studios」(GlogauAIR、ベルリン)
- 2021
- 「RAM PRACTICE 2021」(東京藝術大学元町中華街校舎、横浜)
- 2024
- 「アルスエレクトロニカ2024」New Animation Art 部門 Honorary mention 受賞
- 2023
- 「イメージフォーラムフェスティバル東アジアコンペティション」京都観客賞受賞